2020年7月24日(金) ~ 8月13日(木)
営業時間:11:00-20:00
(*最終日は18時close、他、館の営業時間に準ずる)
入場無料
会場:阪急MEN’s TOKYO タグボート
〒100-8488 東京都千代田区有楽町2-5-1 阪急MEN’s TOKYO 7F
銀座、阪急MEN’s TOKYO 7F、タグボートのギャラリースペースにて、現代アーティスト・松尾貴史による個展「ambivalent」を開催いたします。
「キッチュ」の愛称でお馴染みの、松尾貴史。
タレント、コラムニスト、俳優と、多彩な才能を発揮されており、折り紙で人面を表現する、「折り顔」の作家としても活動しています。
折り顔とは、1994年に松尾貴史によって名づけられたアートの手法です。
日本の生んだ美しい伝承文化である折り紙の手法により、人類すべての数がある「顔」を造形的な特徴や表情、世界観まで含めて表現する現代美術のひとつです。
折り顔の手法とは、
1.刃物などによる切り込みや切り取りを行わない。
2.正方形の紙一枚を折ったり開いたり膨らませたりして造形する。
この2点がポイントで、あとは自由。
この僅かな制約は、俳句にも通じる自由さです。
使用する紙の材質も、和紙、洋紙、コート紙、新聞紙、不織布、プラスチックのようなものなど、創作者の自由な発想でテクスチャーを選択しています。
造形のモティーフとなる顔は、有名人、身近な人物、歴史上の人物、想像上あるいは伝説上の人物、限定されないイメージや表情のみなど、すべてにおいて制約がありません。
これまでも折り顔の展覧会は各地で開催され好評を博しましたが、今回ははじめて「販売」を本格化することとなりました。
松尾貴史の多彩な才能の中で「アート」という分野がさらに鋭くなり、将来的には「折り顔」の海外での展開にも期待が高まります。
本展覧会では絵画も数点展示いたします。どうぞご高覧ください。
CONCEPT
私たちの感情は、生まれたばかりの頃、「快」と「不快」だけしか持たない、わかりやすいものだったはずです。それがいつしか枝分かれを繰り返し、複雑なものになっていきます。
愛憎半ば、可愛さ余って憎さ百倍、逆もまた真なり、同一の人や物や事についても、同時に相反する感情を持つことがどんどんと増えていきます。
自己愛が強いからこそ自嘲的な言動も生まれましょうし、ほんの小さなきっかけで嫉妬が尊敬になり、またその逆も起きます。それは、親兄弟の間でも、ひょっとすると地球と月の間でも。
紙で折られた人面は、見る人のイマジネーションによって、怒っているようにも微笑んでいるようにも悲しんでいるようにも感じます。
私たちは、日々「好きは好き」「嫌いは嫌い」だけでは答えの出ない相反する感情の世界で何かを判断した気になって生きています。あれほど歓迎していた世界的な運動会が延期と決まってからは、「いっそやめてしまえ」などと厳しいことを言う人も増えてしまいました。
「嫉妬はしばしば、正義の仮面を着けてやって来る」という名言があります。自分の中に湧いてきた気持ちは、正義感なのか、嫉妬の腹いせなのか。いえいえ、そんなシリアスなことを言いたかったわけではありません。
バブル時代には稚拙なのに味がある状態を指す「ヘタウマ」という表現が流行り、現在も定着しているようです。近年は不細工なのに可愛く感じてしまう「ブサカワ」という褒め言葉も生まれました。今回展示が許された折り顔などの作品は、ヘタウマか、ブサカワか、アンビバ? その どれかに感じて頂けると幸甚です。
松尾貴史 展「ambivalent」インタビュー
折り顔 ORIGAO
「形状記憶髭の固執」33 x 31cm
「依田先生」30 x 63cm
「ゴリラゴリラゴリラ」36 x 30cm
「イマジン」34 x 21cm
「斑点の好きな婦人」22 x 27cm
「YES we can.」27 x 26cm
「よろちくび」25 x 24cm
「島を返さない人」31 x 27cm
「インドの無抵抗」32 x 32cm
「チベットの解放」36 x 26cm
「よろしくサムバディ」24 x 17cm
「こんな人たちに負けないわたくし」23 x 17cm
「みぞうゆうの傲慢」25 x 19cm
「生活が第一」23 x 21cm
「シティーボーイ」23 x 16cm
「迫る初夏」22 x 23cm
「光の国の人」37 x 22cm
「消しゴム版画の巨星」13 x 14cm
「エクストラ・テレストリアル」10 x 14cm
「ゲルニカ・パパ」18 x 12cm
「亀の怪獣」12 x 14cm
「七福神サミット」34 x 21cm
「MOON2020」73 x 61cm
「アマビエセンセイ」73 x 61cm
松尾貴史
profile
1960年5月11日生まれ。神戸市出身。大阪芸術大学芸術学部デザイン学科卒業。俳優、タレント、ナレーター、コラムニスト、“折り顔”作家など幅広い分野で活躍。カレー店「般°若」(ぱんにゃ)店主。