2021年6月22日(火) ~ 7月12日(月)
営業時間:11:00-20:00
*最終日は18時close、他、館の営業時間に準ずる
入場無料
会場:阪急MEN’S TOKYO タグボート
〒100-8488 東京都千代田区有楽町2-5-1 阪急MEN’S TOKYO 7F
銀座、阪急MEN’S TOKYO 7F、タグボートのギャラリースペースにて、現代美術作家・橋本仁による個展「VIRTUS」を開催いたします。
壮大な世界の小さく儚い存在である自分を受け入れ、個々の存在が生と死の間で現在という瞬間と真摯に向き合って何を考え行動するのか。橋本仁はそのような考えを創作の軸とし、木を彫ったり、鉄パイプをつぶしたり、色鉛筆で紙面を塗りつぶすという制作手法をとることにより、 手技の痕跡を残しながら時間を蓄積するように作品を制作しています。
彼は素材が持つ生命力や呼吸、そして地球の記憶を感じながら制作という行動に要した時間が想像されるような「行為の痕跡」を作品にすることで時間の蓄積を見せます。地球を循環する鉄や木材などの素材を用いた作品は鍾乳洞のように地球が積み重ねた時間、素材が積み重ねてきた時間、作り手の身体に宿る記憶が静かに同居しているように感じられます。
タグボートでは3回目の個展となる本展では、新作を含む約20点の作品を展示・販売致します。深い哲学性と高度な技術を合わせもつ記憶の蓄積を是非ご高覧下さい。
※作品購入は、原則ご本人様が行ってください。
※全て1点もののため、販売状況によりご希望の作品をご購入できない場合がございます。
CONCEPT
「VIRTUS(ヴィルトゥス)」はラテン語で「内から湧き上がる力」すなわち「内発性」を指します。周囲の目線や考え、損得に左右されることなく倫理、道徳的な行動ができるかどうか。その行動を起こす力の源泉がヴィルトゥスであると解釈することができます。
幸福を〈外側〉に求め続けた結果、著しい感情の劣化が起こっている現代社会において欠けているもの、それがヴィルトゥスだと感じています。政治学者であるリチャード・ローティが「感情教育」を提唱したように、教育とは感情プログラムをインストールすることであり、ギリシャ哲学的に言えば「内なる光の受け渡しを行う」ということになります。正しい感情プログラムのインストールで心に光が灯ることで正しい存在になれるのであって、内発性も自浄作用もそこから生み出されるということです。例えば、目の前で不条理なことが起こった時に〈憤り〉といった感情が湧き上がれば、状況を変えるために行動することができますが、そもそも何の感情も沸かなければ、行動を起こす原動力を持たないということになります。
人間社会が終末的様相を呈している今こそ、改めてヴィルトゥスに目を向け、内発性を喚起していくことで、社会を少しずつ良い方向に変えていけるのではないでしょうか。
橋本仁
「Daydream」
2021年 / H35.2xW96.2×D5cm
木パネルにアクリルペイント、樹脂
「Virtus」
2021年 / H61.3xW61.3×D5cm
木パネルにアクリルペイント、樹脂
「Icon」
2021年 / H27.5xW40.5×D5cm
木パネルにアクリルペイント、彫刻、樹脂
販売ページはこちら
「VIRTUS」展覧会風景
PROFILE
「時間と蓄積」「存在と記憶」をテーマに、木材や鉄などの素材を用いて創作するアーティスト・橋本仁は、国内はもとより台湾やニューヨークへと舞台を広げ、めざましい活躍を続けている。2011年に東京藝術大学美術学部工芸科鍛金研究室を卒業、2014年に同研究室修士課程を修了。在学中から「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」への参加や安宅賞受賞などで注目を集め、東京都知事賞を受賞した大学卒業制作作品は2014年まで東京・上野公園に設置された。また、多数の国内外のグループ展に作品を出品、2016年「TAGBOAT AWARD」グランプリ、2017年「Independent Art Fes TAIPEI」大賞を受賞したほか、「Chained-連鎖のなかに」、「Memory Code」、「MEMENTO MORI」などの個展開催にも力を尽くしている。
橋本の作品は、無垢の木材を彫って極限まで透かしたり、鉄パイプをひたすらつぶしたり、色鉛筆で紙面を塗りつぶすという制作手法をとることにより、素材に時間が蓄積され、その結果として生まれてくる。制作の過程はきわめて微に入り細に入り丹念で、たとえば木のキューブ1つの制作に3時間ほどかかる。そうして作られたピースをいくつも組み合わせることで、ようやく一つの作品になる。まさに時間の結晶ともいうべきものだ。
素材となっている木材や鉄は、地球を循環し再生を繰り返し、その記憶を内にひそませている。それらを用いた時間を惜しまない丁寧な手仕事で生み出される作品には、つくり手の身体の記憶も宿っている。橋本は、自身の身体を使った行為の痕跡を作品にすることで、自分が存在しているという実感を得て、その存在を確認しているのである。作家の考えや想いが、着実な仕事と時間の積み重ねによって形となった唯一無二の作品は、見る人の心の深くに響き共感を呼び起こすことだろう。
-経歴―
埼玉県生まれ。東京藝術大学工芸科鍛金研究室修士過程修了。鉄を鍛造した修了作品は東京都知事賞を受賞し、上野恩賜公園に4年間設置された。現在は鉄以外の素材も使い、一貫して“蓄積”をテーマに多様な作品制作を行いながら、海外にも活動の場を広げている。
1984年 埼玉県生まれ
2011年 東京藝術大学美術学部工芸科鍛金研究室 卒業
2014年 東京藝術大学美術学部工芸科鍛金研究室修士課程 修了
2019年 MEMENTO MORI(阪急MEN’S TOKYO, tagboat, 東京)
2020年 Jin Hashimoto Solo Exhibition / Memory Code(郭木生文教基金會, 台北)
2021年 TAGBOAT ART SHOW (阪急MEN’S TOKYO, tagboat , 東京)
2021年 アート解放区EATS日本橋(三越前福島ビル、東京)
2011年〜2014年 東京都上野恩賜公園 作品設置(東京都知事賞受賞作品)
2019年 トレジャーヒル・アーティスト・ヴィレッジ,(台湾、台北)(トーキョーアーツアンドスペース二国間交流事業プログラム)
2012年 安宅賞(東京藝術大学)
2017年 Independent Art Fes TAIPEI 大賞受賞
HP: https://hashimoto-jin.com/
Instagram:@jin__h777