2021年11月16日(火) ~ 12月6日(月)
営業時間:11:00-20:00
*最終日は18時close、他、館の営業時間に準ずる
入場無料
会場:阪急MEN’S TOKYO タグボート
〒100-8488 東京都千代田区有楽町2-5-1 阪急MEN’S TOKYO 7F
銀座、阪急MEN’S TOKYO 7F、タグボートのギャラリースペースにて、アーティスト・伊藤咲穂による個展「Circle of waves」を開催致します。
島根県出身の伊藤咲穂は和紙に新たな世界観を送り込む「錆和紙」を考案。「錆和紙」とは島根県の海辺で採集した砂鉄を和紙に漉き込むことによって生まれる技法で日本伝統の文化である茶道の「侘びと寂び」の精神を表しています。
彼女がつくる創造物の多くは土へ還すことが可能な生分解性が可能な素材で作られています。自然環境と人間が生態系を維持し保護するためにどのように共存していけるかについてその解を迫られていること、また、経年変化から時間とともに表情を変えていく自然や時代の変化をも象徴しています。そのような自然の理を作品を通して「美」として見せているのです。
自然の猛威、時代の流れ、巡る命の反復で形成する現代を、錆びるという自然の中にある秩序のようなもので私たちを導きます。
本個展では、新作を含む約13点の作品を展示・販売致します。日本の文化を自然の中から問い直していく姿を是非ご高覧下さい。
CONCEPT
− Circle of waves −
わたしの幼少期は、自身の存在の淋しさに支えられていたように思います。
なぜなら、その淋しさの中で見た自然との時間は、森や林で眠ったり、夜中に先も見えない真っ暗なアスファルトの路面で星を眺めているうちに自然の仕組みや、その巨大さや、物質同士の穏やかな繋がりを、静けさのなかで子どもながらに「これは世界の本当のことだ」と理解したからです。それは、半分子どもの夢物語のような稚拙な理解だったのかもしれません。
しかし、その当時の感覚が過去から、そして現在、未来までのわたしをどんなに救っているかわかりません。
− 変容する波 , 集積する粒子 , 絡み合う繊維
波シリーズは、2019年瀬戸内海で行った、あるプロジェクトの為の大作として、因島(広島県)での滞在制作から始まっています。その土地で暮らす島の人々にとって、潮の満ち引き、波の動きは、暮らしや命と直結した体の一部として存在しているように感じました。
自然の猛威、時代の流れ、巡る命の連なり、全ては波のように反復し、物質は安定に向かい、小さな粒子となって、重なり絡み合いながら現代を形成し次の波へと繋がります。
今回の展示テーマであるCircle of wavesはそのような想いのなかで制作をいたしました。
そして、自然の波、時の波が、人間の時間軸ではなく、できればそれらの動く時間軸に身をゆだね、誰もが波という揺らぎを媒体として、内へ内へと泳ぐトリガーとなれば幸いです。
伊藤咲穂
※EC販売は11/17(水)からを予定しております。
「WP – Circle of waves Ⅳ」
2021 H72.7 × W72.7 cm
アクリル、石州和紙
「WPC – Circle of waves Ⅴ」
φ72.7 cm
アクリル、石州和紙
「WPC – Circle of waves Ⅵ」
φ60.6 cm
アクリル、石州和紙
PROFILE
1989.08.19 島根県浜田市弥栄町 誕生
2005 広島県 呉工業高等専門学校 建築学科入学
2014 東京都 武蔵野美術大学 工芸工業デザイン学科 テキスタイル専攻 卒業
2014〜 東京都、山梨県、島根県を拠点に国内外で活動
伊藤咲穂は、幼少期の体験からくる静けさを元に、独自の漉き方でつくる錆和紙(Sabiwashi)や、絵具、岩絵具、墨、などを用い平面、立体、インスタレーション作品等を国内外で発表しています。2019年には海外で初となる個展を旭化成株式会社協賛のもとNYのチェルシーにて開催しました。持続可能な社会が世界的にも求められる現代において、伊藤咲穂の作品は「錆びていくこと」「老いていくこと」「土へ還っていくこと」を表現し、民族性に由来する情緒や、自然環境と人々の共存について問いかけています。
古典を軸に生まれた独自の素材「錆和紙(SabiWashi)」は彼女の作品の主材として多く使われるものの一つです。錆和紙を漉くために使用する砂鉄は、彼女の地元島根県の河川や海で自ら採取し、原料となる楮(コウゾ)は、石見地方で育てられたものを使用するなど、素材との繋がりを大切にしています。また、絵の具や顔彩、岩絵の具を用いて描く、時間の経過に比例する美や汚染をテーマとした作品のシリーズは、自然というものの捉え方を違った視点で鑑賞者に投げかけます。 幼少の頃、⾃然豊かな⾥⼭で樹⽊の葉が枯れ、分解され、⼟へと還ってゆく現象を⾒て興奮した原体験からくる、静けさを軸にした自然真理の探求、若齢期にかけての人間と社会、自身と社会をテーマに表現されるもの、それら二つの統合と拡張を試み、表現することによってDNAに組み込まれた答えを探り、アートの立場から人の営みを問い、そのあり方を探ります。
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