2018年12月14日(金)~12月26日(水)
月ー金 12:00ー19:00 土日祝 休廊
*12月20日のみ12:00-17:00まで
tagboat Galleryでは、市川詩織による個展
“ Hey Humans,(ねぇ人間、)” を開催致します。
市川詩織は現役で東京藝術大学の油画科に入学し、大学院にて版画を専攻、卒業したばかりの若手作家です。
Independent Tokyo 2018にてTAGBOAT特別賞を受賞し、現在人気急上昇中。
市川詩織の作品は、人間と身近な動物を題材として描いています。
私たち人間は、動物たちと、ある種奇妙な関係を築いてきました。
動物に対して「都合のいい解釈」をし、「都合の良い逸話」を信じてしまうのです。
そこで、人間と動物の間の視点から、その「常識」となっている考え方を捉え直し、
風刺画のように提示することで、想像を超えた不思議な可笑しみを持つ世界を作り出します。
動物に対して愛情と親しみを持つばかりに、人間が当たり前に持ってしまう常識。
その様々な形を、皮肉と愛情を込めて、軽妙なドローイングでさらりと描き出します。
ぜひご高覧ください。
展示作品
CONCEPT
私は世の中に問いかけを行う1人のアーティストとして、今何ができるのでしょうか。
社会問題、環境問題、愛情の問題などの様々な事例を、ただ絵に描くことでしょうか。どうやら、そんなに簡単なことではないようです。問題を批判的な意思をもってイメージにするとき、出来上がったものには1人の人間の意志と思考が強く表出し、ただの1人の文句にすぎないものになってしまいます。
問題を解決する答えとは、1人が正解を得るものではありません。個人が出す答えは、その人の人生、生活環境、周りの人物の考え方、教育によって正反対のものにもなり得ます。私が一つの答えを出し、絵にしたとしても、それは決して正解ではありません。それが正解になったら、一つの宗教になってしまうから。
私は様々なものに問題を感じていますが、その解決策の正解は一生出せないものに思います。この先出会う人によって、見る景色によって、答えはどんどん変わっていくでしょう。
今の私にできることは、具体的な答えをだすことではなく、答えの可変性を訴えることではないでしょうか。
様々な見方によって世界は大きく形を変え、それぞれがそれぞれの確かな背景をもっていることを理解すること。インターネットによって距離が縮まった世界が持つ大きな問題は、世界中の価値観の可能性を受け入れる準備ができていないことにあります。それぞれの価値観を、「理解できないもの」と自分の頭の中から排除してしまって良いのか。理解できないのには、知らないこと、知ろうとしないことの問題が大きいのではないでしょうか。
私がペットと呼ばれる動物たちをモチーフに選ぶのは、彼らが私たちの本質をうつす真実の鏡のような存在に思えるからです。私たちは自分で自分を見ることができません。私たちの生活に依存し、多くの影響を受けて本来の動物の姿から少し離れた存在になったペット動物達は、人間の接し方、考え方によって、同じ種であってもまったく正反対の性格を形成します。環境の影響力や教育の影響を強く受けた彼らのふるまい方は、私たち人間と限りなく近いものです。彼らを見つめることで、やっと私たちは自分たちの姿を客観的に見ることができるのかもしれません。
埼玉県生まれ。
東京藝術大学 版画第一研究室 2018年卒。
人とその他の生き物の間にある妙な関係を嘘と事実を交えながら描き、安易にアーカイブ化することで、人間の常識の危うさについて考えています。
1993年 埼玉県生まれ
2012年 東京芸術大学美術学部絵画科油画専攻 入学
2015年 2人展「Filter practice」 東京・イエローハウス
2016年 東京芸術大学美術学部絵画科油画専攻 卒業
2016年 東京芸術大学大学院美術研究科 版画第一研究室 入学
2016年 「俵賞展」 東京芸大 版画廊・油画ギャラリー
2016年 石橋財団奨学金を受けポーランドにて滞在制作、展示
2017年 「ZURETA / INTERNATIONAL CONTEMPORARY PRINTED ART」展 東京芸大・陳列館
2017年 ’Shotai’ Exhibition アイルランド
2017年 「ZURETA / INTERNATIONAL CONTEMPORARY PRINTED ART」展 上海美術大学
2018年 「大きな脳みそによる悪意のない誤解-ペットと人間の関係からみる、愛について-」 東京芸大
2018年 「ZURETA / INTERNATIONAL CONTEMPORARY PRINTED ART」展
Galeria Medium / Medium Gallery, Bratislava(スロバキア)
NEON Gallery, Wroclaw(ポーランド)