2019年8月2日(金)~9月5日(木) (*8月20日(火)のみ休廊)
営業時間:11:00-20:00
*最終日9月5日は18:00までとなります。
*8月23日はイベントのため18:00で閉館致します。
入場無料
会場 :阪急MEN’s TOKYO ギャラリータグボート
〒100-8488 東京都千代田区有楽町2-5-1 阪急MEN’s TOKYO 7F
オープニングパーティー:8月2日(金)18:00-20:00
銀座、阪急MEN’s TOKYOに誕生したギャラリータグボートでは、地球を循環する鉄や木材などの素材を用いて、存在と記憶、時間と蓄積をテーマに作品を制作するアーティスト・橋本仁による個展「Memento mori」を開催します。
2014年に東京藝術大学美術学部工芸科鍛金研究室修士課程を修了した橋本氏は、在学中から大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレやアートプロジェクトに参加するなど、当時から注目されるアーティストでした。2016年の第11回タグボートアワードでは、応募者300人超の中から見事グランプリを獲得。以後も、中之条ビエンナーレ2017への参加やNYのwhiteboxにて展示を行うなど、アーティストとして目覚ましい活動を行っています。
鉄パイプをひたすら潰したり、無垢の木材を極限まで透かすことで、素材に時間が蓄積されていくのだと語る橋本氏。そうした素材を組み合わせて作られた橋本氏の作品には、地球が積み重ねた時間や、素材が積み重ねてきた時間、作り手の身体に宿る記憶が、静かに同居しているように感じられます。
タグボートでは2度目の個展となる本展では、新作を中心に20点あまりを展示・販売いたします。深い哲学性と高度な技術を合わせもち、今後の活躍が期待されるアーティスト・橋本仁の生み出す世界を、間近でご体感ください。
橋本仁
1984年 埼玉県生まれ
2011年 東京藝術大学美術学部工芸科鍛金研究室卒業
2014年 東京藝術大学美術学部工芸科鍛金研究室修士課程修了
●グループ展
2009年 大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2009 克雪dynamoアートプロジェクト 山本浩二CAPフロギストン メンバー (仙田小学校、新潟)
2009年 Light Feeler -触覚により「見る」- (ギャラリー空、東京)
2012年 第12回 KAJIMA彫刻コンクール 入賞作品展 (鹿島KIビル・アトリウム、東京)
2016年 第11回 TAGBOAT AWARD 入選者展(世田谷ものづくり学校 ⅡDギャラリー、東京)
2016年 第11回 日本現代藝術 Tagboat Award 特別展(Galerie F&F、台北)
2016年 SHIBUYA STYLE vol.10 (西武渋谷店、東京)
2017年 THE WORLD IS SQUARE, 橋本仁 / 黄大(G gallery、台北)
2017年 Independent New York (Ashok Jain Gallery, NY)
2018年 Code,Line,Sides (Pinacotheca gallery, Tokyo)
2018年 FORSAKING POP: A NEW ART GENERATION FROM JAPAN (WhiteBox, NY)
2018年 ALL ART+ (Van Der Plas Gallery, NY)
●個展
2013年 橋本仁 展 -橋本曼荼羅- (Overland Galler、東京)
2014年 橋本曼荼羅 -あしとりんご/”Who”の肖像- (Overland Galler、東京)
2018年 Chained -連鎖のなかに- (tagboat gallery、東京)
2018年 Jin HASHIMOTO / Memory Code 【Crony Art Program】(Crony, Tokyo)
●公共展示
2011年 東京都上野恩賜公園 作品設置
2012年 SAS(ストリートアートステージ)作品設置 (取手駅前、茨城)
2012年 南アフリカ共和国日本国大使館(公邸)にて展示 (現在、日立パワーアフリカ社にて展示)
2013年 大学評価・学位授与機構 エントランス、機構長室 作品設置(大学評価学位授与機構、東京)
●アーティスト イン レジデンス
2017年 PIER2 Art center (高雄、台湾)
2017年 中之条ビエンナーレ 2017 (群馬、日本)
●受賞歴
2011年 東京都知事賞 (東京藝術大学、東京)
2012年 第12回 KAJIMA彫刻コンクール 奨励賞 (KAJIMA彫刻コンクール、東京)
2012年 安宅賞 (東京藝術大学、東京)
2016年 第11回 TAGBOAT AWARD グランプリ(TAGBOAT、東京)
2016年 第34回 三菱商事ART・GATE・PROGRAM 入賞
2017年 Independent Art Fes TAIPEI 大賞
橋本仁 紹介ムービー
「Memento mori」展示作品「Cosmic Code – Black Circles」制作風景
【「Memento mori」展覧会特別インタビュー】
橋本仁さんに展覧会への思いや作品のコンセプトなどをより深く伺いました。制作中の様子もご覧いただけます。
NEW!
Concept by 橋本仁
Memento mori(死を想え)という使い古され、現代アートにはそぐわない非革新性と非斬新さを想起させるこの言葉をなぜ今使うのか。疑問を感じる方も多いだろう。
しかし、私はここで逆に疑問を呈したい。果たして、20世紀の後半から成長と統合を破壊的に推し進めてきた結果、輝かしい経済の発展と技術の進歩を基盤とした未来に向けて、人類は進歩しているのだろうか?
私はMemory CodeやCosmic Codeシリーズで自分自身の身体性を駆使しながら時間を蓄積し”瞬間の質量”を可視化した作品を発表している。ひとえに”今”という瞬間と丁寧に向き合うことの重要さを感じてもらいたいと願うからだ。一つの砂粒が存在するには一つの宇宙が必要で、砂粒より遥かに大きく複雑な存在である私の今を記録するなど実際には不可能に近い。しかし、それでもこうして表現し続けるのは、現代社会から抜け落ちている“本質”と“根本”への道標としての役割を果たしたいと考えているからである。
本展Memento moriでは、このように現在を生きる自分自身の時間を託した木彫や幾層にも重ねられた色の彫刻作品から透かし見ながら、あらゆる憎しみ、危機感、執着、希望や絶望が存在しない空間である”生と死のあいだ”に心を漂わせてみる。
私たちは、大きな”生と死のあいだ”に包括され、無数の”生と死のあいだ”を生きている。
人間ひとりの寿命はその大きな単位から考えれば、砂粒以下の長さだろう。しかし、それでも、誰かが旅立ち、何かが失われれば、世界は確実に一つの欠片を失うことになる。
“生と死のあいだ“のことは生物単体の生と死で完結するのではなく、無数の可能性を秘めた関係性の中で紡がれていく決して途切れることのない物語であり、途方もない大きさを持つ一つの宇宙でもある。
日々語られる重要な物事も、“生と死のあいだ”のこととして見れば瑣末なものに見えることだろう。本質の土台を見つめ直した上で現実に対峙すると、私たち現代人が抱える問題の解決の糸口が見えてくるのではないだろうか。